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朝日新聞創刊号(その2)

(3月25日校長発)

私は、きょう出張でした。朝出勤してすぐ出かけて、いま(午後8時)帰ってきましたので、申し訳ないですが、今日の記事は、前に書いておいた表題の記事をアップするだけでご勘弁願います。

今日の記事には、児童のようすがまったく出てきません。それを御承知でお読みください。申し訳ないです。

(続きは、↑↓見出しをクリックしてご覧ください)

3月2日記事の続きです。

【朝日新聞創刊号(その2)@5年社会見学】

朝日新聞創刊号から、きょうは二つの記事を読んでいきましょう。

小学生には難しいと思いますが、保護者の皆様、「校長の授業」のつもりでお読みください。

「校長に授業ができるの?」とおっしゃりたいでしょうが、まあ我慢して(笑)。

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↑ 上の写真:文章はそのままにして、書き方を現代風に書きなおしてみます。

  「府下、上本町通りに一昨年西南戦争の際、建築なりし陸軍臨時病院は、方今迄(いままで)建て捨てにてありしに、此の程(このほど)一坪に付き、代価七十銭ずつにてお払い下げになり、該地所(その地所)へ盛大なる兵営六棟新築なるとの事」

  ・府下・・・東京府でしたから、「府下」ですね。

  ・西南戦争・・・西郷隆盛の「率兵上京」(兵隊を率いて東京に上る)を阻止する政府軍と薩摩軍との間に起きた内戦ですね。あまりに有名です。明治10年のことで、それが「一昨年」と書いてありますので、そこからも、この紙面は「明治12年」発行とわかります。

  ・振り仮名(ルビ)がおもしろいです・・・「西南戦争の際」の「際」に「とき」と振ってあります。「さい」ではないのですね。その上の「通り」は「とほり」と振ってあり、三行目の「七十」は「しちじぅ」ですよ。さらにあとの「六棟」は「ろくむね」でなく「むむね」。時代を感じさせてくれます。
   ちょっと難しいところでは、二行目「方今」に「いま」と振ってあります。「方今」は「ほうこん」と読んで、意味は「ちょうど今このとき」ということなのですが、それにさらりと単に「いま」と振っている。おもしろいですね。

  ・「一坪の代価七十銭」・・・価は旧字(正字)が使われていますが、「百銭=1円」で、明治初頭の1円は現代の貨幣価値では十万円ほどですので、一坪七十銭というと、なんと7万円ぐらいですね。今の東京で一坪七万円で払い下げたら、大いに問題になるところですね。これも時代だなあ。

↓ では、次にいきます。

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↑ 上の写真: 現代風に書きなおせば、

 「 来る二月二日は、石町三橋楼に於いて、大来吟会を開かれます。幹事は水原梅屋、生駒膽山、大田幽石、加島菱洲の四君にて、詩題は「紀元節口号春暁」と、文題は「送人之琉球序」であります。諸君ご来臨あれ。会費は二十銭と承れり。」

  ・振り仮名(ルビ)が、やっぱりおもしろい。
    「来る」は「くる」ではなく「きたる」ですね。これは今もそうです。、「ちかぢかやってくる」ことを「きたる」といいますが、今でも「来る」と書きます。「来たる」と書く人が今は多いですが、間違いです。   
    「三橋楼」は「さんきょうろう」と読むのですが、「さんけうろう」と振ってますね。「今日(きょう)」の振り仮名が昔は「けふ」であったことは皆さんご承知の通りですが、「橋(きょう)」は「けう」なのですね。こういう違いは「旧仮名づかい」を勉強しないと分からない。

    人の名前で「幽石」には「ゆーせき」と振ってあります。「ゆうせき」でなく、長母音を「ー」で表している。こういう表し方が、明治時代にすでにあったのですね。私にも新鮮な驚きです。

    最後の行「二十銭」を「にじっせん」としています。 上の西南戦争関連記事の「七十銭」は「しちじうせん」と文語読みだったのに、ここは口語読みにして「にじっせん」としています。

    あ、人の名前の「菱洲」、「りょうしゅう」と読みますが、「れうしう」と振ってあります。今風ならば「りょうしゅう」と六文字のルビとなるところが、「れうしう」と四文字だから節約できて経済的です。

    ところが、「会費」は今は「かいひ」なのに、昔は上の記事のように「くゎいひ」ですから、必ずしも経済的ではないな(笑)。

    詩題の「紀元節口号春暁」は、「きげんせつこうごうしゅんぎょう」と読むのでしょうが、読み下しはきっと「紀元節に春の暁を口ずさむ」でしょうね。間違っているかもしれないけど・・・おいおい、校長の授業としゃれこんだくせに、間違っているかもというのはないでしょうというお叱りの声が聞こえてきます。でも、これにはルビが振ってないので、推測するしかない。たぶん間違いないとは思います。意味は、「2月11日の紀元節(日本の建国記念を祝う日)にあたって、春の暁(あかつき=明け方)のさわやかさを歌おうではないか」ということでしょう。

   文題の「送人之琉球序」にはルビが振ってあります。分かりやすく漢字仮名交じりで表現すれば、「人の琉球に行くを送る序」。琉球は言うまでもなく今の沖縄県ですが、人が琉球に旅立つので、それを送り出す序文を書きなさいということでしょう。序文というのは今の序文ではなく「はしがき」・・・短い文というほどのことです。    
  

   以上でおしまいにしますが、偉そうに書いてきましたけれども、ひょっとして碩学(せきがく)の方の目に触れたら間違いがあるかもしれません。御遠慮なくご指摘願います。

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