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第55回卒業式(3月19日)

(3月22日校長発)

年間教育計画では、お彼岸の二日連休のあと、本日は修了式の予定でしたが、26日に延期したため、今週は時間短縮による児童登校といたしました。

    • 23日訂正:修了式予定は23日(水)でした。訂正しお詫び致します。26日への延期というのは正確です。

但し無理のない範囲での登校とするため、登校できる状況にないとご判断いただいたご家庭は登校免除としておりますが、登校される場合は、現下の状況を考慮し、できるかぎり保護者同伴での登下校をお願いしましたことに、皆様のご理解ご協力を得られ、感謝申し上げます。

学校では、私もできるかぎり多くの児童に声をかけるようにしておりますが、低学年をふくめ、「元気です」との返事がかえってきて、頼もしく思っております。

いま、原発事故関係では放射能汚染に関して、政府が「風評被害」の懸念をさかんに国民に呼びかけていますが、なにごとも安全第一が最優先である以上、どこに「安全」水準をおくかによって国民の受け止め方は千差万別になりやすく、そのことが「風評被害」の問題をなかなか難しいものにするのだと私は思っております。

そして、「風評被害」に対処する力は、正確な情報収集だけではなく、それに加えて「判断力を鍛える訓練」の問題があると思っております。

私たち日本国民は、大正12年の関東大震災のとき、「朝鮮人が井戸に毒を投げ入れた」という風評があっという間に東京中に広まり朝鮮の方々に被害を与えた歴史的教訓を持っており、そのことを通して、「風評被害」というものの重大さを知っております。

だからこそ、今般巨大災害に対応した日本国民の冷静さが全世界に感動をもたらしたように、現代の日本では、関東大震災のような悲劇は起こらないわけですが、判断力が鍛えられていない分野で、形を変えて、たとえば、多くの人々があらゆる野菜を食べなくなるとか、ガソリンの買占めに走るなどという形で、「風評被害」は起こる可能性がある(一部起きている)わけです。

もちろん、私どもは児童の「現在将来の安全」を最優先に考え、適切な情報収集、分析等、状況を注意深く見守ってまいります。そして、それと同時に、今後、児童が「鍛えられた判断力」をもつ国民に成長するよう導くことも大事だと思っております。

「判断力を鍛える」ことは、社会に出てからさまざまな場面で大事になってきます。

いつかの全校朝会で子供たちに教えたことですが(保護者の皆様には釈迦に説法のことですが)、

 勇気というものは判断力に支えられてこそ勇気であって、判断力が磨かれていなかったり、足りなかったりする勇気や決断力は、「蛮勇(ばんゆう)・・・野蛮な勇気」になりやすいものです。

 また、正確な判断力を発揮しなければ、真に勇気を出すべき時に、弱気になって事の成功を逃して、後で後悔することになります。

 ご家庭におかれても、児童の年齢に合わせながら、「風評被害」や「判断力」という問題について、話題にしてもらえたらと思います。もちろん、先に述べましたように、どこに「安全水準」を置くかという問題がありますから、結論を出す必要はありません。

(続きは、↑↓見出しをクリックしてご覧ください)

卒業式取材にきた五島育英会の広報調査課小澤係長が撮影してくださった動画を4本掲載します。

そのあとに、参列者一同に感銘をあたえたMWさんの答辞を全文掲載いたします。動画の2本目が答辞のシーンなのですが、全文読了までは容量が大きすぎて掲載できません。雰囲気を動画で味わい、答辞全文の格調高さは文章でお読みください。

    • 幾人かの6年生の親御さんから、良い卒業式だったとメールをいただきましたが、そのなかに、「答辞」を掲載してほしいという声がありました。後日、5年生の送辞の掲載も検討してみたいと思います。

【卒業式動画】 

  1. 23sotugyo-siki (1).wmv
  2. 23touji sotugyousiki.wmv
  3. 23uta-zaikousei.wmv 
  4. 23uta sotugyousei.wmv

【卒業式答辞の全文】

   答辞

 厳しかった冬の寒さも和らぎ、少しずつ春の気配を感じる日が増えてきました。

 本日は、私たち、七十八名のために、このような盛大な卒業証書授与式を執り行っていただき、ありがとうございます。

 また、校長先生をはじめ、ご来賓の方々、在校生の皆様から、温かい励ましやお祝いの言葉をたまわりましたこと、心よりお礼申し上げます。

 六年前、私たちはやわらかな春風のもと、東横学園小学校に入学しました。初めての電車やバスの通学。

 私たちはもちろん、毎朝笑顔で送り出してくれた父や母も、私たち以上に不安でいっぱいだったのではないでしょうか。  でも、優しい先生や上級生、そして何より、新しい仲間との出会いによって、通学にもすぐに慣れることができました。

 友達の名前を覚えた頃に迎えた、初めての運動会。 先生に教わった振り付けを、一生懸命に覚えました。 高学年の演技やリレーは迫力満点で、いつかは自分もと、希望を胸に抱きました。

 箱根林間学校、音楽発表会、大縄大会、お店屋さんごっこなど、たくさんの行事を通して、一年生の終わりには、学年のみんなが友達になりました。

 毎年行った夏季学校では、美しい緑豊かな自然の中で、様々な体験をしたり、大海原にひそむ、自然の厳しさ、雄大さを経験したりと、毎日があっという間に過ぎていきました。  清里高原で、日本一おいしいソフトクリームをみんなで食べたことや、なかなか実現できなかったキャンプファイヤーが、今では懐かしい思い出です。

 大きかった制服が、いつしか似合うようになった頃、校舎の新築が始まりました。  最後のお別れに、メッセージをみんなで校舎に書き込みました。

  思い出の詰まった校舎がなくなるのは、寂しかったのですが、夏休みがあけると、明るく広々とした新校舎が、私たちを迎えてくれました。

 学校の名前も、東京都市大学付属小学校と代わり、私たちの気持ちが新たに引き締まったことを思い出します。

 そして、いよいよ最高学年。

 修学旅行で訪れた奈良・京都では、千三百年あまりの時を経た、神社や史跡の散策を通して、建立までの長い年月に思いをはせ、大きな時の流れを感じました。

 低学年の羨望のまなざしを一身にあびながら、女子は華麗に、男子は力強く演技した運動会、たくさんの拍手を頂きました。  騎馬戦やリレーを一生懸命応援してくれる下級生は、小さかった頃の私たちと、同じ気持ちでいてくれるのだと思うと、自然と力がわいてきました。

 楽しく歌うことで精一杯だった頃に比べ、緊張感が増した音楽発表会。六年間の集大成として、納得できるものを作り上げようと、向上心が強くなり、一人一人が課題を克服できるように頑張りました。

 みんなの心と音を一つに重ねて演奏した、展覧会の絵で、最後に響き渡った銅鑼の音。幕が降りた瞬間の、仲間の笑顔。  小学校生活最後の行事一つ一つに、全力で取り組む中で得た、一瞬一瞬の感動は、今も心に残っています。

 本格的な受験勉強が始まり、学校生活も厳しくなっていきましたが、ともに頑張る仲間がいたことは、最高の励みでした。

 そして、困ったときにはいつでも受け止めて下さる先生方に囲まれ、疲れたときには、明るく元気な在校生の皆さんに勇気づけられ、最後まで乗り切ることができました。   みなさんに支えられ、目標に向かって頑張り続けたことは、一生忘れることのできない思い出となりました。

 つい先日、わが国過去最大と言われる大地震が発生し、各地で大きな被害を受けました。お亡くなりになった方々のご冥福を心よりお祈りし、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。

 被害の大きさを知るたびに、自然の脅威を前に、人間は無力であるということを痛感すると同時に、これから私たちに何ができるのかを考えさせられました。

 私たちがこの六年間を通して学んだ、「今何をすべきか考えること、目標に向かって努力を積み重ねること、友達と協力して頑張ることの大切さ」は、地球規模の問題にも生かせると思います。

 知恵を出し合い、工夫し、助け合って、一日も早い復興と、被害を最小限に食い止めるために自分たちにできることを考え、実行したいと考えます。   そして、私たちの命は計り知れないほどに重く、尊いということ、日々平穏に過ごせることへの感謝を、決して忘れてはいけないと感じました。

 私たちは今日、たくさんの思い出を胸に、この学舎を飛び立ちます。

 四月からは中学生として、それぞれの新しい道を歩んでいきます。  新たな出会いや多くの可能性を信じ、自分自身の未来を、自分の手で、切り開いていきたいと思います。

 在校生のみなさん。私たちの大好きな東京都市大学付属小学校が、いつまでも素敵な学校であるように、みなさんの力で盛り上げていってください。

 最後になりましたが、これまで優しく、厳しく、私たちを導いて下さった、校長先生をはじめ諸先生方、見えないところで支えて下さった事務の方々、用務の方、警備の方、そして、いつもあたたかく包んでくれたお父様、お母様。本当にありがとうございました。

 おかげさまで、私たちは一人一人、こんなに大きく成長することができました。そしてこれからもどうか、私たちを見守り、時には厳しく導いてください。

 卒業生を代表し、もう一度、心からの感謝の言葉を申し上げ、母校のますますの発展をお祈りし、答辞とさせていただきます。
 
                        平成二十三年三月十九日
                       東京都市大学付属小学校  
                        第五十五回 卒業生代表 MW

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コメント(2)

6年間、本当にお世話になりました。
答辞を読むことになったものの、学校がしばらく休校だったため、満足な練習もできず、どうなることかと思って迎えた卒業式。
わが子ながら、娘の成長をみた思いがしました。
答辞の文章がアップされておりますが、最後の名前のイニシャルが間違っております。
YMではなく、正しくはWMとなります。
ご訂正いただけるお時間がありましたら、宜しくお願い致します。

このコメント投稿に正式な名前など記載して良いのかわからず、匿名の投稿のようになりましたが、送信させて頂きます。

校長 重永先生

たびたび失礼致します。
先程コメント欄の投稿より、匿名で答辞のイニシャルの間違いを指摘させて頂きました。
初めての投稿で良くわからず送信してみましたが、そのまま記載される訳ではないようなので、再度送信させて頂きます。

先日、五島育英会の理事 國分榮様より答辞に関しましてのお手紙を頂きました。
娘はささやかな卒業旅行に行っていたため、開封が昨日夜になりました。
初めて、大人の方からいただいた正式なお手紙で、緊張して読んでおりましたが、暖かいお言葉に、卒業式のことをまた思い出していたようです。
つっかえたらどうしよう、泣いて読めなくなったらどうしよう、と不安を抱えての答辞でしたので、その後に頂けた國分様のお手紙は娘の力になるとともに、宝物となりました。
あらためまして國分様には娘から手紙をお出し致しますが、重永校長先生の方からも國分様に娘が喜んでいましたこと、宜しくお伝え頂けると幸いに存じます。

    卒業生 6桐 渡辺瑞
         母 渡辺晶子

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