「イトカワとはやぶさ」そして「消しゴム」@6月14日全校朝会(その2)
(6月16日校長発)
- きょう、4年生は社会科見学で、江東区のゴミ処理工場などの見学です。早朝学校に集合して、7時50分にバスで出発。いつもそのぐらいには出勤するのですが、きょうは少々遅れて、お見送りできませんでした。ごめんなさい。
- また、1年生は、先日の学校公開の折につくった梅ジャムの試食会。日ごろお世話になっている5年生や2年生にもおすそ分け。そればかりか、私ども教職員にもおすそ分けがありました。
- 以上のもようは後日、あらためてご報告いたします。
きょうは、昨日につづいて、6月14日の全校朝会その2を報告いたします。
校長のお話ですが、6月13日の日曜日の深更に帰還してきた「小惑星イトカワ探査機」の「はやぶさ」のことをお話しました。
続きを読んで、ご家庭でも話題にしていただけると嬉しく思います。
(続きは↑↓見出しをクリックしてください)
火星と木星にただよう小惑星帯のなか、実に地球から3億km離れた宇宙空間に浮かぶ小惑星「イトカワ」とその探査機「はやぶさ」(下の写真参照)の物語は、日本だけでなく全世界の人々を感動の渦に巻き込みました。それとある短歌を結びつけて話しました。
【6・14全校朝会:校長のお話】
全校朝会では、「下学年には難しい話になりますが...」とまくらを置いて話し始めたのですが、イトカワの写真を見せると、即座に、1年生が「イトカワ」と答えました。これには感動しました。同じ名字の子が1年生にいるのですが、名前の由来となった博士ゆかりかもしれません。
↓ イトカワは、長径が330mと言いますから、ちょうど東京タワー(高さ333m)を横にふくらましてずんぐりにしたぐらいの大きさです。
- あとで森島先生に聞いたのですが、地球を野球ボールの大きさだとすると、月が10円玉ぐらいになって、このイトカワは小さなダイヤモンドのかけらぐらいの大きさだそうです。
↓ これが「はやぶさ」。7年間も宇宙空間を旅し、仕事を終えた瞬間に地球大気圏突入にともなう摩擦熱で、跡形もなく燃え尽きてしまいました。
- 写真は両方とも日本航空宇宙研究所が提供しているものをお借りしたものです。
この探査機「はやぶさ」は、もう今となっては誰でも知っているところとなりましたが、イトカワにたどり着いてその写真を撮影するだけでなく、東京タワー程度のイトカワに着陸し、表面の岩石片をカプセルに収納した上で地球に帰還するという大変な使命を帯びて、2005年5月に鹿児島県内之浦基地より、打ち上げられました。
1年生はまだ生まれていない子がほとんど、2年生は生まれたばかりのときの打ち上げですから、気も遠くなりますね。それから7年の長旅でした。
イトカワを飛び立って地球を目指すたびは大変でした。故障を繰り返したり半年間も通信不能に陥ったり、もう通信も制御も回復しなくていいよと思われることもあったり、4基のエンジン全部が止まったこともあります(かろうじて1基が回復しましたが)
......そういう「はやぶさ」の物語は、人にたとえれば、途中「けが」をしたり、「迷子」になったり、あるときは「見捨てられ」そうになったりしながら、地球の「親」の思いを必死に受けて、7年間の旅を成功させて、両手と片足をなくして、一本の足だけで、やっとの思いで帰ってきたということになります。
その「はやぶさ」が、地球にたどりついたら、大事なカプセルだけを地上に届け、自分は燃え尽きてしまう・・・人間でなくても悲しいことながら美しく尊い話であるわけです。
それで、この「はやぶさ」物語をとおして、私には、ある短歌のことが連想されました。
その短歌とは、
↓ 「他のために 己を汚し身を削る ○○○○のごと 生きむとぞ思ふ」
文語や旧かなづかいがまじっているので難しいのですが、意味を説明しながら、○○○○には何が入ると思う?と尋ねました。
そうしましたら、まず「はやぶさ」と返ってきました。
うーん、私の話の意味をしっかりと理解してくれているなと感動しました。
しかし、短歌の○○○○に入る言葉は、実際には、ちがいますので、「それでも良いけれども、実は、みんながいつも持っているものだよ」と再度問いかけますと、「鉛筆」と返ってきます。
なるほどなあと思いました。こどもたちの感性はすごいですね。
「なるほど、鉛筆でも良いな、でももっと別のもの」といいますと、盛んに手を上げる子がたくさんいます。
一人の子を指すと、「消しゴム」という答え。それが≪正解≫だったのですが、「はやぶさ」も「鉛筆」も正解ですね。
いずれにせよ、「自分の体をよごしたり、体をへとへとに疲れさせてでも、人のために尽くすことはとても尊いことです」という意味です。実に難しいことですが、こういう生き方をみんながしたら、世の中は暮らしやすいことまちがいなしですね。
全校朝会が終わったあと、森島先生(1桜)に、「私は【ははおや】かと思いました」と言われ、あ、それも大正解ですね、と笑いながら話したことでした。
ぜひ、はやぶさ物語をご家庭でも話題にしていただければとおもいます。
- 「他のために 己を汚し身を削る 消しゴムのごと 生きむとぞ思ふ」という短歌は、「全私学新聞」に掲載されたもので、長崎市の西史紀先生作です)
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いつも大変お世話になっております。
当日は、ちょうど朝に「はやぶさ」の話を家族でしたところでした。
全校朝会でお話し頂き、子供の記憶にも強く残ったことと思います。
貴重なお話、ありがとうございました。
ムッチ父様
コメントありがとうございました。
本校の全校朝会は、気持ちをしずめるための黙想から始まることもあって、児童達の態度もよく、そして6年生の児童会役員も一生懸命で、全校朝会は週のはじめの行事としてケジメとメリハリをつけるとても良い行事です。
ただ、私としては、「校長のお話」の話題づくりがくせもので(笑)、難渋しております。ですから、つまらない話題だったと御子様よりお聞きになったときはご寛容に願います。
いろいろと種本もあるのですが、それに頼っているだけでは、やっぱりトピック性、ニュース性のあるほうが、ご家庭で話題にのぼせやすいと思っております。
実は、私学新聞記事をこんどの朝会で話そうと思っていたときに、ある親御さんからこの「イトカワとはやぶさ」の話を聞いて、これは良い話だと飛びついた次第でした。
保護者の皆様から話題提供をいただいたものすべてを朝会で話せるとは限りませんが、皆様とも、話題提供にご協力願います(笑)。…予防線を張りつつ、人様に頼るなんて、我ながら、虫がよくて、かつだらしない校長だなあ(笑)